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印刷業界

みなさん、印刷会社は全国でどのくらいあるかご存知ですか?

印刷業界の歴史は長くドイツ出身のヨハネス・グーテンベルクが活版印刷の技術を発明し、1450年頃までには実用化して印刷所の運営を始めています。印刷業の始まりといえます。560年以上の時を経た印刷業は1つの産業として完全に成熟市場となっています。

しかし、コンピュータやインターネットの普及によって、紙媒体への「印刷」は減っているだろうとは、印刷業に馴染みのない方も想像できるのではないでしょうか。

先日、5月31日に経済産業省から平成29年の工業統計調査の確報(概要版)が出ていましたので、印刷業界を見てみました。

平成29年概要版|工業統計調査|経済産業省

印刷以外にも取り組む印刷業

平成29年における「印刷・同関連業」の事業者数(従業者4名以上)は約1万。印刷業だけでいうと、約8千5百社というところです。

平成28年と比較すると、およそ13%の減少です。印刷業界の厳しさを物語っています。

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製造品出荷額等での比較もしてみました。平成29年は約5.1兆円となっており、こちらも昨対比は減少ですが、-4.7%と事業者数の減少に比べれば持ち堪えているといえます。

製造品出荷額等(従業者4人以上)- 昨対比

なお、印刷関連サービス業はプラスになっていますが、印刷関連サービス業とはなんでしょうか。以前は、校正刷り、刷版研磨などの印刷・同関連業にかかわる補助業務を指したようですが、印刷に付帯するデザインや販促支援、イベント企画なや名簿管理や情報処理なども含まれることがあるようです。他にもコンピュータ制御の写植機を活用した汎用データベースの作成や電子出版、ニューメディアソフトの制作など印刷に付帯する業務を指すようです。

印刷会社といっても、ただ印刷機で印刷をするのだけではなく、このような付帯業務や「印刷・同関連業」以外の業務に取り組んでいるのが現状です。

印刷会社はこの10年で約35%減

ついでに、10年前の数字と比べてみました。「印刷・同関連業」の事業者数は約35%も減っています。そのうち、製版業は半数以下になっており、時代の変化を感じます。ここでの印刷関連サービス業は、校正刷りや刷版研磨を専門で行っていた事業者でしょう。

事業所数(従業者4人以上)- 10年前との比較

製造品出荷も約27%の減少となり、1.8兆円以上も市場が縮小しています。

製造品出荷額等(従業者4人以上)- 10年前との比較

なお、従業者数が30人以上の事業所数がありましたので見てみると、こちらの減少率は-14.7%と全体より少なめ。30人以下の規模の小さな事業者の方がダメージが大きかったようです。

事業所数(従業者30人以上)

主要27社との格差

昨年のデータには従業者規模ごとの事業所数がありました。見てみると、30人未満の事業所は全体の8割以上、10人未満が5割以上ということがわかります。

印刷・同関連業 従業者規模別統計(平成28年)

ここで、業界動向を知ることができるサイトがあったので見てみると、印刷業界の過去11年間の売上高の推移グラフがありました。

印刷業界の動向・現状・ランキングなど-業界動向サーチ

グラフはあまり大きな増減がなく、伸び率や収益性もわずかながらプラス傾向です。前出の工業統計調査における業界の厳しさとは違うグラフになっています。

どうやら主要対象企業27社のデータのようで、業界シェアの数字もこの27社のデータのようです。ただ、ここでも凸版印刷と大日本印刷の2社がそれぞれ約38%のシェアとなっており、2強が業界を占めています。他は10%未満と成っており、シェア1%を超える企業は7社に限られています。しかし、これは27社のデータ。本来は1万社以上の会社があるため、その差はもっと大きいと言えます。

この主要27社では、やはり印刷以外の業務など経営の多角化を図って売上規模を維持していますが、この主要27社は印刷業界としては0.5%未満。ここにも挙がってこない中小企業がより苦しい戦いを強いられているというのが、印刷業界全体の状況でしょう。

ちなみに、荒川印刷の従業者規模は50人~99人にあたります。50人以上の会社は全体の9%です。主要27社ほどの体力があるわけでもなければ、小回りの効く人数でもないため、非常に厳しい状況にありながらも、なんとか黒字を保っている状況。やはり、いろいろ取り組んで挑戦していかなければ未来がないという実感もあります。地方の印刷会社でありながら、印刷業以外にもさまざまな取り組みをしていますので、このブログでも紹介していければと思っています。

(TS部 佐藤新一)

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